たとえ話で理解する量子の世界(6) — すこし、まとめておこう
これまでの話を、いったん、まとめておきましょう。
- 量子ビットの状態は、一つの数字ではなく二つの数字で表される
- なぜ二つかというと、量子ビットの状態は、0の状態と1の状態の「重ね合わせ」だからである。
- 量子ビットを「観測」すると、「重ね合わせ」の状態は失われて、0または1いずれかの状態、すなわち、普通のビットが観測される。
- 一回の観測では、0か1しか返ってこないのだが、繰り返し観測すれば、0が観測される確率と1が観測される確率は一定の値に近づいていく。これが、元の量子ビットの0の状態と1の状態の「重ね合わせ」の情報を与えると考えることができる。
今回は、それを式で表現してみます。
- 「重ね合わせ」の「0らしさ」を表す数字を α とします。
- 「重ね合わせ」の「1らしさ」を表す数字を β とします。
- 「0の状態」を |0> (「0 ケット」と読みます)で表します。
- 「1の状態」を |1> (「1 ケット」と読みます)で表します。
この時、量子ビットの状態は、二つの数字αとβを用いて、次の式で表されます。
$$α|0> + β|1>$$
α, β は複素数なので、0と1が観測される確率を導くのは、すこし手間がかかるのですが、α, βと「共役」な複素数を \(α^*,β^* \) とすると、
この量子ビットで、0が観測される確率は、$$α^*α$$この量子ビットで、0が観測される確率は、$$β^*β$$
になります。
この α, β を「確率振幅」と言います。