講演資料


講義資料スライドの表紙

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全体概要

本セミナー「embeddingプログラミングの基礎」は、「機械と人間が意味を共有するembeddingの世界」という壮大な問いを起点に、AIの言語能力獲得という歴史的事件の技術的核心に迫ろうとする意欲的な講義です。[p.1], [p.3]

前回セミナーで提起された「機械はどのようにして意味を理解するようになったのか」という問いの延長線上に本セミナーは位置します。2003年のBengioによる「次元の呪い」への取り組みから2022年のChatGPT登場に至る四半世紀のAI技術の理論史を「意味の分散表現論(embedding論)の発展史」として一貫して捉え、その現代的到達点を実際のプログラミングを通じて体験的に理解することを目指しています。[p.7], [p.6]

本セミナーが特に強調するのは、embeddingが「人間と機械の共通言語」であり、音声・文字に次ぐ「ことばの第三の形態」であるという洞察です。[p.17] LLMの内部ではembeddingが文字通り縦横無尽に飛び回っており、その振る舞いの不思議さと情報の豊かさを直接ハンドルするembeddingプログラミングを学ぶことが、AIの深い理解と高度な活用の土台になるという確信が全体を貫いています。[p.18], [p.24]

講義はPart 1(embeddingの世界の概論)、Part 2(embeddingプログラミング入門)、Part 3(embeddingと検索技術の新展開)の三部構成で展開されます。[p.2] 単なる技術紹介に留まらず、「文字列検索から意味検索への転換」がGoogleによって先導された21世紀初頭のIT大変革に匹敵する「二度目の大変化」を引き起こしつつあるという歴史的・社会的展望までを射程に収めた、骨太なセミナーです。[p.21], [p.22]


講義のロードマップ

■ Part 1: 機械と人間が意味を共有するembeddingの世界

  • この部の核心:

前回セミナーの振り返りを足場として、embedding概念の哲学的・技術史的な位置づけを確立します。LLMの成功要因を「Next token prediction」「Self-Supervised Learning」「RAG」の三点に整理したうえで、embeddingそのものが「目立たない存在」でありながら実はLLMの情報処理能力の核心を担っているという逆説的な重要性を明示します。[p.10], [p.18] そして本セミナーの目的を「LLMの世界をいったん離れて直接embeddingをハンドルすること」と明確に設定します。[p.19]

  • 論理展開:
  • 「意味の分散表現論の系譜」として2003年〜2022年の技術史を俯瞰し、embedding論の発展史としてAI史を再解釈します。[p.7]
  • TransformerからLLaMAへの「翻訳モデル」→「大規模言語モデル」への移行を図解し、decoder-onlyアーキテクチャの勝利として位置づけます。[p.9]
  • Embedding Layerがどのようにトークンを多次元ベクトルに変換するかを入力embeddingパイプラインの図で示します。[p.12], [p.13]
  • embeddingが「世界」についての豊富な情報を自律的に含んでいるという「LLMとembeddingの不思議」を提起し、後続セミナーへの問いとして開かれた形で残します。[p.14]
  • 検索技術への影響という観点から「21世紀のIT技術の二度目の大変化」を予告し、AIにプログラムを書かせる時代にこそembeddingを直接理解する意義を論じます。[p.22], [p.24], [p.25], [p.26]


■ Part 2: embeddingプログラミング入門

  • この部の核心:

抽象的なembeddingの概念を、OpenAI APIを使った具体的なコードとその出力によって「実在するもの」として体験させます。前半の「embedding体験入門」では「cat」「猫」「吾輩は猫である」などの例でembeddingの生成・類似度計算を示し、後半ではAmazonレビューデータを使った実用的な意味的検索(Semantic Search)プログラムの全体パイプラインを解説します。[p.32], [p.62]

  • 論理展開:
  • embeddingは浮動小数点数の多次元ベクトル(例:ada-002では1536次元)であり、「文字コードとは根本的に異なる意味の表現」であることを実際の出力で示します。[p.35], [p.38], [p.42]
  • cosine similarityの数式を導入し、「猫」と「cat」のembedding類似度が0.845、絵文字🐈と「cat」が0.851であることを示して多言語・マルチモーダルな意味共有を実証します。[p.46], [p.48], [p.49]
  • 「文字列検索vs意味検索」の本質的違いを「ねこ」「猫」「cat」の例で対比し、意味検索の優位性を論理的に説明します。[p.81], [p.82], [p.83], [p.84]
  • Amazonレビューデータ(54万件超)の読み込み→combinedフィールド生成→embeddingベクトル化→CSVへの保存→cosine_similarityによる検索という完全なRAGパイプラインをコードで示します。[p.73], [p.91], [p.94], [p.95], [p.96]


■ Part 3: embeddingと検索技術の新しい展開

  • この部の核心:

embeddingによる意味検索の適用範囲が「テキスト」を超え「あらゆるもの」に及ぶというVector Searchの世界観を提示し、さらにMatryoshka Representation Learning(MRL)という2022年の革新的技術によってembeddingの次元が柔軟に調整可能になったことを解説します。[p.112], [p.129] これらが合わさってマルチモーダルAI時代の意味検索基盤となりつつあることを示します。[p.113]

  • 論理展開:
  • Googleのブログ「Find anything blazingly fast」を引用し、Vector Searchがユーザー類似検索・商品検索・IoTデバイス異常検知・広告最適化・セキュリティ脅威検出など広範なビジネス領域を変えることを具体的に示します。[p.115], [p.118], [p.119], [p.120]
  • 「文字列の一致検索」から「意味の近似検索」への転換の哲学的意義——意味やイメージの世界には「完全な一致」の概念が存在しないため近似こそが本質——を論じ、そのためにベクトル表現が本質的重要性を持つことを明確にします。[p.110], [p.111]
  • MRL(Matryoshka Representation Learning)を「1回の学習で複数次元に対応したembeddingを生成し状況に応じて次元を柔軟に変更できる技術」として紹介し、OpenAIのtext-embedding-3モデルへの採用を示します。[p.130], [p.136]
  • MRLの定量的効果として、ImageNet-1Kにおいて同等精度で最大14倍のembeddingサイズ削減、検索で最大14倍高速化を実証した論文データを示します。[p.139], [p.143]
  • Approximate Nearest Neighbor(ANN)とVector Quantization(VQ)の概念、FAISSとHNSWというVector Searchエンジンの役割を解説し、実世界の大規模検索システムへの接続を示します。[p.124], [p.125], [p.185], [p.189]

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