講演資料


講義資料スライドの表紙

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全体概要

このセミナーは「エンタープライズと機械学習技術」と題し、Azure Machine Learning(Azure ML)というクラウドプラットフォームを活用した予測ソリューション開発の実践的なサンプルを包括的に解説しています。[p.1], [p.2]

現代のエンタープライズが直面する課題の一つは、人間の「総合的判断」によって蓄積されてきた業務意思決定を、いかにデータ駆動型のシステムへと昇華させるか、という点です。従来のソフトウェア開発では、アルゴリズムをプログラマーが明示的に設計・実装する必要がありましたが、機械学習のアプローチでは、人間の仕事は「学習モデルの選択」と「訓練用データの準備」に集約され、モデルの内部パターン生成そのものは機械が担います。この構造的転換こそが「Smart Machine」の本質です。[p.10]

本セミナーが選んだ具体的なユースケースは、UCI公開データセットを用いたドイツのクレジットリスク予測システムです。[p.11], [p.16], [p.17] このサンプルを通じて、機械学習モデルの構築に必要な一連のステップ——データのアップロード、実験の設計、モデルの訓練・テスト・評価、そしてWebサービスとしての公開——が、Azure ML Studioのビジュアルなモジュール結線(ワイアリング)によって実現できることを示します。[p.13]

機械学習アルゴリズムが行うことは大別して「数値予測」と「カテゴリー分類」の二種類であり、このサンプルでは後者——与信の可否というバイナリ分類——を扱います。[p.3] モデルは選択・訓練・テスト・評価というサイクルを反復することで精度を高めていきます。[p.4] 本サンプルでは、Support Vector Machine(SVM)とBoosted Decision Treeという二つのアルゴリズムを、重み付き・非重み付きの訓練データという二つの条件で組み合わせた計4モデルを比較し、最終的に最善のモデルをAzure上のWebサービスとしてデプロイするところまでの完全な流れを追います。[p.39], [p.51]

Azure ML Studioの最大の特徴は「実験」というコンセプトにあります。複数のアルゴリズムと複数のデータセットの組み合わせを試行錯誤できる場として機能し、実験が完了すれば即座にWebサービスとしてデプロイできる点が、エンタープライズにおける迅速なソリューション展開を可能にします。[p.9]

講義のロードマップ

■ Part III: Azure MLでの予測ソリューション開発サンプル

  • この部の核心:

クレジットリスク予測という実務的なユースケースを題材に、Azure ML Studioを用いた機械学習パイプラインの全工程を実践的に解説します。データ準備からモデル訓練・評価、Webサービス公開・アクセスまでを一貫して示すことで、エンタープライズでの機械学習活用の具体像を提示します。[p.2], [p.13]

  • 論理展開:

  • 機械学習の基礎概念整理: 機械学習アルゴリズムは「数値予測」と「カテゴリー分類」を行い、ユーザーはプログラムを書く代わりにモデル選択と訓練データ提供に集中する。モデル構成のステップは「選択→訓練→テスト→評価」のサイクルで回す。[p.3], [p.4], [p.5], [p.6]

  • Azure ML Studioの構造: Algorithm・Train Model・Score Modelの三モジュールを結線するビジュアル環境で、訓練段階からスコア段階への移行、さらにWebサービスへのデプロイまでシームレスに行える。「実験」コンセプトにより試行錯誤が容易。[p.7], [p.8], [p.9]

  • Smart Machineの構造的転換: 従来型開発(データ構造・アルゴリズム→プログラム→アプリケーション)と機械学習型開発(学習モデル選択・訓練データ→機械学習アルゴリズム→アプリケーション)の対比図により、人間の仕事と機械の仕事の再分配を明示。[p.10]



Step 1: ML Workspace作成 [p.14]
  • Azure管理ポータルのMACHINE LEARNINGセクションから「CREATE AN ML WORKSPACE」を選択してワークスペースを作成する。



Step 2: データのアップロード [p.15]
  • この部の核心:

UCI Statlog(German Credit Card)データセットの特性を理解し、Azure ML Studioにアップロード可能な形式に変換します。[p.16], [p.17]

  • 論理展開:
  • データセット概要:1,000件、20属性(定性・定量混在)、クレジットリスクの二値ラベル(1=低リスク、2=高リスク)。高リスクを低リスクと誤分類したコストは低リスク誤分類の5倍。[p.16], [p.17], [p.18], [p.19], [p.20]
  • フォーマット変換:元データは空白区切り。PowershellまたはUnixのsedコマンドでCSV形式に変換後、ML Studioの「Upload a new dataset」ダイアログからアップロード。[p.21], [p.22]



Step 3: 新しい「実験」の作成 [p.23]
  • この部の核心:

Blank Experimentを作成し、Metadata Editorでカラム名を付与した後、Splitモジュールで訓練用・テスト用データに分割します。さらにRスクリプトで高リスクサンプルを5倍複製し、コスト関数を反映した訓練データを生成します。[p.24], [p.25], [p.26], [p.28], [p.31], [p.32]

  • 論理展開:
  • Metadata Editorで21カラム(属性1〜20+Credit risk)に意味ある名前を付与。[p.28], [p.29], [p.30]
  • Splitモジュール(割合0.5)で訓練用500件・テスト用500件に分割。[p.31]
  • Rスクリプト(Execute R Script)で高リスクサンプル(label=2)を5回複製し、コスト5倍を反映した訓練データを生成。分割は複製前に実施することで訓練・テスト間のデータ漏洩を防ぐ。[p.32], [p.33], [p.34]



Step 4: モデルの訓練と評価 [p.35]
  • この部の核心:

SVM・Boosted Decision Treeの二アルゴリズムを、重み付き・非重み付きの訓練データで組み合わせた4モデルを構築・比較します。Evaluate Modelモジュールでコスト反映済みの正確さを計算し、最優秀モデルを選定します。[p.39], [p.45], [p.51]

  • 論理展開:
  • SVM用にはTransform Data By Scaling(tanh変換)で全数値特徴を[0,1]に正規化。Boosted Decision Treeはそのまま使用可。[p.40]
  • 4モデル(SVM×重みあり・なし、BDT×重みあり・なし)を構築しScore ModelでEvaluate Model→Add Rows→Execute R Script→Project Columnsのパイプラインで正確さを一覧化。[p.47], [p.48], [p.49], [p.50]
  • 結果:SVM(weighted)= 0.731818が最高精度(x5複製条件)。x10複製ではSVM(weighted)= 0.763784とさらに向上。[p.51], [p.52], [p.53]
  • 全体フロー(2アルゴリズム→4訓練モデル→4スコアモデル→2評価モデル)の構造を図で確認。[p.55], [p.57], [p.58], [p.59], [p.60], [p.61], [p.62]



Step 5: Webサービスへの公開 [p.63]
  • この部の核心:

訓練用実験をスコア用実験に変換し、Webサービスとして公開します。訓練済みモデル(Boosted Decision Tree採用)を保存し、不要モジュールを削除、入出力を設定した後にPUBLISH WEB SERVICEを実行します。[p.64], [p.65], [p.66], [p.67]

  • 論理展開:
  • SVM関連モジュールを削除し、残ったTrain Modelを右クリック「Save as Trained Model」で「Credit Risk Prediction」として保存。[p.66], [p.70]
  • Project ColumnsでCredit Riskカラムを除外し、Score Modelの入力ポートに「Set as Publish Input」、出力ポートに「Set as Publish Output」を設定。[p.68], [p.69], [p.71], [p.72]
  • PUBLISH WEB SERVICEクリック後、stagingサーバー上にWebサービスが公開される。CONFIGURATION画面でREADY FOR PRODUCTION? = YESを押すと実サーバーへ昇格。[p.74], [p.75], [p.76], [p.77], [p.78], [p.79], [p.80], [p.81], [p.82]



Step 6: Webサービスへのアクセス [p.83]
  • この部の核心:

公開されたWebサービスへのアクセス方法として、Request/Response方式とBatch Execution方式の二種類を説明し、R言語によるサンプルコードを提示します。[p.84], [p.85]

  • 論理展開:
  • Request/Response:1件のデータをHTTPで送信し1件の結果を受け取るリアルタイム方式。[p.84]
  • Batch Execution:Azure BLOBのURLを渡してバルク処理する非同期方式。[p.84]
  • API help pageのリンク(REQUEST/RESPONSE・BATCH EXECUTION)からR・C#・Pythonのサンプルコードを取得可能。RCurlとRJSONIOを使ったRコードサンプルを掲載。[p.85], [p.86], [p.87]