講演資料
講義資料スライドの表紙です。上のスライド画像をクリックすると、同じ画面のまま全編のPDF資料を快適に閲覧・印刷することができます。
セミナーの概要
本セミナー「Be My AI! AIとスマートデバイスと人間の未来を考える」は、2022年11月のChatGPT登場から約1年間でAIの世界に起きた劇的な変化を整理したうえで、AI技術がどのような方向へ向かうべきかという「人間とAIの関係性」を問い直す意欲的な講演です。
ChatGPTは登場からわずか1年で週間アクティブユーザー1億人、開発者200万人、Fortune 500企業の92%が利用するまでに普及しましたが [p.4, p.5]、それでもスマートフォンや インターネットの利用者(数十億人)と比べれば、AI利用の裾野はまだきわめて狭い段階にあります [p.30, p.31]。本セミナーはこの「普及の不十分さ」という問題意識を出発点に、AIを本当の意味で全人類に届けるためには何が必要かを論じます。
議論の軸となるのは「AIのマルチモーダル化」と「AIのユーザーアプリへのカスタム化」という2023年秋に明確になった二つの潮流です [p.13, p.14]。これを歴史的に相対化するために、講演者は電信・電話・ラジオ・テレビ・スマートフォンというメディアのマルチモーダル化の歴史を丁寧に辿り、それぞれの段階でユーザーが急速に拡大し、新産業が生まれてきたという法則を確認します [p.32〜p.41]。ただし、先行するメディア史の成功がAIのマルチモーダル化にそのまま適用されるわけではなく、AIには「人間が何を望んでいるか」という問いへの応答が求められると指摘されます [p.42]。
この問いへの回答として講演者が提示するのが「Be My AI!」という展望、すなわち「パーソナルなAI」の実現です。キーボードを介さずに声で対話できる「ボイスAI」をゲームチェンジャーとして位置づけ [p.46]、OpenAIのAssistant APIによってスマートフォン上にAIアシスタントアプリを展開することで、一般ユーザーとAIの距離を劇的に縮めると同時に、IT開発者が独自の強力なアプリを市場に送り出せる環境が整うと論じます [p.51, p.52]。最終的に講演者は「OpenなAIか、CloseなAIか」「私のAIか、誰かのAIか」という問いを提示し、AIが人間のアシスタントであり続けるための設計思想こそが100年後の未来を左右すると結論づけます [p.62]。
講義のロードマップ
ここでは、セミナーの講演資料がどのようなパートから構成されているかを示します。また、それぞれのパートのポイントを紹介します。
■ Part 1: この1年間にAIの世界で起きたこと
ChatGPT登場(2022年11月30日)[p.3] から2023年11月のOpenAI DevDayまでの約1年間の出来事を時系列で整理し、AI普及の実態と、開発組織内外で高まる安全性への危機感を対比的に示します。爆発的な普及の裏側に潜む構造的問題を直視させることで、次のパートへの問題意識を準備します。
■ Part 2: OpenAIとは何か
OpenAIの組織構造と設立理念を読み解くことで、「利益最大化ではなくAGIの安全な開発」を優先する特異な資本設計の意味を明らかにします。これはAltman解任騒動の背景を理解するための不可欠な文脈でもあります。
■ Part 3: メディアのマルチモーダル化の歴史から学ぶ
電信から電話・ラジオ・テレビ・スマートフォンへと続くメディアの進化史を俯瞰し、各段階でのマルチモーダル化が「ユーザーの急拡大」「パーソナライズ促進」「新産業創出」をもたらしてきたという法則を確立します。同時に、AIのマルチモーダル化がこの歴史の延長線上にある一方で、根本的に異なる課題も抱えていることを示します。
■ Part 4: Be My AI! パーソナルなAIを展望する
「パーソナルなAI」の実現に向けた具体的なロードマップを提示するパートです。ボイスAIをゲームチェンジャーと位置づけ、OpenAI Assistant APIがスマートフォンを舞台にAI利用を劇的に民主化すると論じます。AIは人間を押し除ける存在ではなく、あくまで人間のアシスタントであるべきという設計思想が一貫して流れます。
■ Part 5: AIと人間の関係はどうなっていくのか
「OpenなAIか、CloseなAIか」「私のAIか、誰かのAIか」という根源的な問いを提示し、AIの設計思想そのものが人類の100年後の未来を規定するという講演全体の結論を示します。楽観的な未来像を描きながらも、その実現には人間側の意思決定が不可欠であることを訴えます。
ページのナビゲート