マルレクとMaruLaboへの活動支援募金協力のお願い
いつもお世話になっています。
マルレクとMaruLaboの活動支援への協力のお願いです。
今回は、マルレクとMaruLaboのこれまでの活動を振り返りつつ、現在、マルレクとMaruLaboがどのような活動を目指しているかを述べて、改めての支援をお願いしたいと思います。
どこから寄付すればいいのかわからないという指摘がありました。わかりにくくてすみません。
この長いページの一番下に、「寄付する」のボタンがあります。
次のボタンからでも寄付できる用にしました。。
「マルレク」とは何か
「マルレク」と言っても、若い人にはピンとこない人も多いと思います。
「マルレク」は、2002年の丸山のJ2EEについての連続セミナーから始まりました。そこでの丸山の講演は「丸山のレクチャー」略して「マルレク」と呼ばれるようになりました。
この時期、J2EEのようなインターネットの技術をエンタープライズに応用しようという動きが追求され、少し遅れて、そうしたニーズと市場の拡大を背景としてAmazonはクラウドサービスの提供を開始します。
コンシューマ市場では、検索と広告を結びつけるGoogleの新しいビジネスモデルが成功を収めました。また、Facebookが登場しSNSの利用は急速に拡大しました。さらにAppleのiPhoneの投入を契機に、グローバルな規模でスマートフォンの普及が進みました。
こうした振り返りは、この時期が、現在のBig Tech (GAFA)の市場占有状態の確立期だったことを示しています。
同時に、この時期、インターネットは、かつてないほどの規模での「情報共有」を可能にしました。IT技術者の間にオープンソースの考えが広がり、企業の枠を超えたコミュニティ活動が活発に展開されました。
日本でもそうでした。僕の知っている範囲でも、2007年には「JJUG」が、2009年には「日本Androidの会」が、2011年には、「クラウド研究会」が立ち上がりました。
こうしたオープンなコミュニティの活動の中で生まれた、「マルレク」は、今日までずっと継続されてきました。
MaruLaboはどんな組織か
MaruLaboは、2017年に一般社団法人として活動を始めました。きっかけは、AI技術でした。2012年のDeep Learningの鮮烈な登場は、ITの世界に大きな衝撃を与えました。この時期、マルレクも積極的にこのテーマに取り組みました。
Misltoeさん, NVIDIA,さん さくらインターネットさんからの機材提供を受けて発足したMaruLaboは、の設立趣意書は次のように述べています。
「 AIは、もはや「未来の技術」ではありません。AIは、現代の技術者にとっての新しい常識になりつつあります。 … こうした変化は急激なものです。残念ながら、多くの企業や大学等の教育機関にとって、こうした変化への対応は十分なものではありません。… MaruLaboは、学生・IT技術者の中での、AI技術の学びの拡大を応援します。特に学生層の中での、AI技術の普及に積極的に取り組みます。具体的には、意欲ある学生に、無償でGPUを使わせることを、事業の大きな柱にしています。」
残念ながら、学生へのGPU環境の提供という目標は十分に達成できませんでした。
マルレクとMaruLaboはどう変わってきたか
丸山の問題意識は、この頃から少しづつ変わり始めました。 技術系のコミュニティで、技術のトレンドを追いかけて、すぐ先に見えている技術を少しだけ早く紹介することや、それへの技術的な準備と対応を呼びかける自分の活動に自分で疑問を感じるようになりました。
IT技術の変化は急速でドラスティックなものです。30年前や50年前の技術を価値があるものとして振り返る人はほとんどいません。対照的に、20世紀末の数学界の一大ニュースは、350年前のフェルマーの定理の証明にワイルズが成功したことでした。ワイルズの仕事は、現代の数学にも画期的な意味を持つものでした。IT技術者の学びにもその基礎として、長い時間の中でも生き残る確実な知識が必要だと思うようになりました。
二つのことに気づきました。一つは、計算機の応用が応用数学と結びつきがあるのは当然ですが、計算科学の基礎は「複雑性理論」や「型の理論」を通じて数学の基礎理論と深い結びつきがあることです。もう一つは、科学の側からも、量子論の応用分野の一つとして量子コンピュータに関心があったのは当然ですが、量子論や相対論の基礎をめぐる研究のなかで、「情報」の問題が大きくクローズアップされているのです。
僕は、MaruLaboの活動の目的を見直すことにしました。技術と科学の未来を展望しつつ、情報の世界を中心にしつつ、技術と科学の接するところを、広く深く学ぶ機会と刺激を多くの人に提供する場にしようと。
我々は、今、「機械が人間と同等の言語能力を獲得した」歴史的瞬間に立っています
2012年のDeep Learningの突破口は、「Googleの猫」にせよ、画像認識のコンテストで優勝した「Alex net」にせよ、ヒントンらの音声認識技術にせよ、基本的には、視覚・聴覚という人間の感覚的諸能力の機械による代替の可能性を開くものでした。
その10年後の2022年11月30日に、OpenAIがChatGPTを公開します。それは、LLMを武器に、人間の諸能力の中でも最も基本的な言語能力に焦点を合わせたものでした。
あの衝撃的な登場から、2年が経ちました。この2年の間にも、AIの能力は大きく成長を続けています。僕は、現在のLLMとAIの能力の到達点を「機械が人間と同等の言語能力を獲得した」と捉えています。
現在、我々は、「機械の言語能力の獲得」という機械の歴史の中での歴史的瞬間に立ち会って、それを目撃しているのです。重要なことは、その歴史的瞬間は機械にとって歴史的であるだけでなく、我々人間にとっても歴史的な意味を持つだろうということです。それは人間の歴史の中で起き、人間の手によって生み出されたものですから。
ただ、その変化の意味を我々が予測可能で了解可能なタイムスケールで正確に捉えることは、実は容易なことではないと思います。それが、ディストピアからユートピアまで色々な未来モデルが生まれるのは当前のことだと思います。
ひるがえって考えてみれば、人類が生物学的進化の過程で言語能力を獲得したことは、人類が他の動物種と異なる道を歩むこと、すなわち、人類が人類として歩むことを可能にした、人類史上最大の出来事の一つです。その歴史的瞬間から、10万年近い時間をかけて、その能力の恩恵をあらゆるところで受けながら、我々は、今日の文明を作り上げてきました。
確かなことが一つはあると思います。マルレクとMaruLaboが関心を持つ、技術と科学が交差する領域についての未来予測です。
それは、技術の世界に属する大規模言語モデルの新たな理論的枠組みに関する分析の中から、数学的に厳密な方法で基礎付けられた新しい「情報と意味の科学」が立ち上がってくるだろうということです。その領域は、21世紀の新しい技術と科学のルネサンスの舞台になると、僕は考えています。
マルレクとMaruLaboが支援を訴える事情
2018年頃から、マルレクとMaruLaboの活動の軸足は、IT技術者の技術勉強会から、情報の世界を中心にしつつ、技術と科学の接するところを、広く深く学ぶための情報と刺激を提供する場に変わっていきました。それは、セミナーのテーマ設定の変化にとどまらず、オープンな技術コミュニティをベースとする活動から、自身の問題意識に基づいて自ら学ぼうという個人を活動の主要なターゲットにするということを意味していました。先の「セクションでも述べたように、それは僕の主体的な選択によるものです。
2020年、コロナ禍で対面のセミナーやハンズオンの開催ができなくなり、マルレクとMaruLaboは全ての活動をオンライン上で行うことになりました。コロナの終息宣言はその3年後だったと思います。その間、丸山は東京のアパートを引き払い稚内に帰ることにしました。それは、2002年のマルレク開始以来丸山の活動を支えてくれた、丸山と東京を中心とする友人たち、IT技術者、ITコミュニティ、IT企業との日常的な接点を失うことを意味しました。
残念ながら、稚内からのオンラインのセミナーの参加者数は、コロナ以前の東京での対面セミナーの規模に戻ることはありませんでした。
MaruLaboの収入は、「丸山レクチャーズ会員」の会費収入(月額750円+任意のカンパ)とセミナー収入(参加費 1500円)の二つに基づいています。セミナー参加者の減少は、コロナ以降、MaruLaboの収支構造を悪化させています。
このペースで進めば、あと少しで資金を使い果たすと思います。それが今回、緊急に支援を呼びかけた理由です。
希望を持っていること
コロナによる環境の変化の元で進んだこともあります。
マルレク+MaruLaboのWebサイト(https://www.marulabo.net/ )の整備が進み、多様なテーマの膨大な量の講演資料がいつでもアクセスできるようになりました。2020年以降のセミナーのリストは、「これまでのマルレク+MaruLabo」( https://www.marulabo.net/seminarlist/ ) をご覧ください。
この時期、YouTubeの利用を進め、YouTubeチャンネル「Maruyama Lectures」( https://www.youtube.com/c/MaruyamaLectures ) に、1,000本を超えるコンテンツを蓄積してきました。
最近では、コンテンツの内容をわかりやすく伝えるために、AIによる音声概要の導入を積極的に進めています。
意外に思われるかもしれませんが、セミナーのスタイルとテーマとターゲットの変更、セミナー参加者の減少にもかかわらず、マルレクとMaruLaboのコンテンツの利用者は、ゆっくりとですが確実に増加を続けています。
YouTubeの「Maruyama Lectures」のチャンネル登録者は3,000人に近づき、Facebookの「マルレクとMaruLabo」ページのフォロアーは、8,000人を超えました。
もっとも、整備されたコンテンツの無料提供がカンニバリズムを起こしていて、セミナー参加者の減少を招いているのは否めないのですが。
ただ、MaruLaboのバランスシートは、収入も少ないが支出も少ないという、とてもエコなものなので、年間数十万円規模の支援のスキームを作って、コンテンツのオープンな提供を維持したいと考えています。
改めてのお願いです。どうか丸山の活動のパトロンになってください。
いただいたご支援は、コンテンツの製作や告知活動、MaruLabo Webサーバの維持等に使わせていただきます。
今後もマルレクなどのセミナー活動を継続していくために、ぜひ皆様からのご支援をお願いします。
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