講演資料



講義資料スライドの表紙です。上のスライド画像をクリックすると、同じ画面のまま全編のPDF資料を快適に閲覧・印刷することができます。

セミナーの概要

本セミナー「技術と科学の未来を考える」は、丸山不二夫氏が2021年12月11日にABCDコミュニティ向けに行った講演の記録です。講演が提起する中心的な「問い」は、「情報とは何か」という根源的な問いであり、その問いを軸として、「情報の時代」がいつ、どのようにして始まったのかを歴史的に遡りながら探求します。
講演が特に照準を当てるのは1950年代前後という時代です。シャノンの情報理論、フォン・ノイマンのコンピュータ・アーキテクチャ、チューリングの人工知能構想、ワトソンとクリックによるDNA二重らせん構造の解明という、互いに連動する複数の知的ブレイクスルーが短期間に集中した、この時代を「情報の時代の幕開け」として位置づけています。これらはいずれも、「情報」という概念を科学と技術の中心に据えた歴史的転換点であり、現代のIT技術の思想的・科学的源泉をなしています。
さらに講演は、この創成期から約半世紀を経た21世紀初頭に進行した変化クラウドとモバイルの普及、GAFAの覇権、コンシューマ化するネットワークを「情報の時代の新段階」として考察します。そして、現実に進行しているのは一般個人による情報の「消費」に留まっているのではないかという批判的な視点を示しつつも、21世紀科学の次なるフロンティアとして「量子情報」という概念が、物質の世界と情報の世界を架橋する鍵となるという展望を提示して締めくくります。
本講演はAndroidという具体的な技術の歴史的背景を改めて考えるきっかけを提供するものとして構成されており、技術者が日々向き合うツールの背後に潜む、より深い科学史・思想史的文脈を再発見させてくれるセミナーです。

講義のロードマップ

ここでは、セミナーの講演資料がどのようなパートから構成されているかを示します。また、それぞれのパートのポイントを紹介します。

■ Part 1: 「情報」とは何か

「情報」という言葉そのものの成り立ちと、その概念的な多義性を整理することで、この講演全体の問題意識を設定します。日本語の「情報」は1954年以降に現在の意味で使われ始めた比較的新しい言葉であり [p.5]、一方で英語の “information” についてもシャノン自身が「単一の定義に収束しない」と明言しているという事実から [p.9]、「情報」が本質的に多義的・多形態的な概念であることを確認します。

■ Part 2: 「情報の時代」の始まり1950年代

現代IT技術の科学的・思想的起源を、1950年前後という特定の時代に集中したブレイクスルー群として描き出します。電気通信技術(電信・電話・無線)という技術的先行条件が19世紀末に整い [p.14, p.15, p.16]、その上に情報の「科学」が20世紀半ばに登場したという歴史的文脈を明確にします。技術と科学の間には数十年単位のタイムラグが存在するという認識が、この部の骨格をなしています [p.10]。

■ Part 3: 「情報の時代」の新段階21世紀初頭

1950年代の創成期から半世紀を経た21世紀初頭、情報の時代は「クラウドとモバイルの時代」という新段階に突入します。ハードウェアの指数関数的な高性能化・低価格化(ムーアの法則)が技術のコンシューマ化を推進し [p.37, p.38, p.39]、GAFAに代表されるプラットフォーム企業の覇権とスマートフォンの普及がITを日常生活に溶け込ませました [p.40, p.41]。しかし丸山氏は、これが真の「情報共有」ではなく「情報消費」に留まっているという批判的視点を提示します [p.43]。

■ Part 4: 次なるフロンティア「量子情報」の世界へ

本講演の結論的展望として、21世紀の科学・技術は「物質の世界(自然科学)」と「情報の世界(IT技術)」が交差するところで発展するという丸山氏の見立てが示されます。その二つの世界を結びつける鍵概念が「量子情報」であり、これが次のブレイクスルーとなるという展望が提示されます [p.44]。詳細は別の機会に譲るとされており、本講演はその入口を示す位置づけです。

ページのナビゲート

元のMaruLaboサイトのセミナーページに移動する

MaruLabo コンシェルジェのトップページに戻る