量子情報とエントロピー

2021/09/04 マルレク「量子情報とエントロピー」概要
この間、5月マルレク基礎「情報とエントロピー入門」、6月マルゼミ「情報とエントロピー」と、情報とエントロピーについてのセミナーを開催してきたのですが、今回はそのシリーズの三回目です。
20世紀は、科学・技術が飛躍的に発展した時代でした。特筆すべきは、20世紀前半の量子論・相対論の成立を画期とした科学的自然認識の拡大と、20世紀後半のコンピュータ・通信技術の成立・発展による、技術的情報世界の拡大です。
自然科学が対象とする「物質の世界」と、IT技術が対象にする「情報の世界」は、異なる世界のように見えます。ただ、21世紀の科学・技術は、この二つの世界の交差するところで発展するだろうと、丸山は考えています。
物質の世界と情報の世界という二つの世界を結びつける、重要な概念が「エントロピー」です。
21世紀の科学が、物質の世界と情報の世界のより深いつながりを明らかにするのなら、既に巨視的・日常的な世界で、物質の世界と情報の世界という二つの世界を結びつけているエントロピーが、量子の世界で果たしている役割を知ることは重要なことです。
セミナーの第一部「なぜエントロピーが重要なのか」では、二つの世界の接点を、いろいろな具体的なエピソードを通じて考えます。
- 「物質の世界」と「情報の世界」
- エントロピーの再発見 – シャノンの情報理論
- なぜ、コンピュータは電力を消費し、熱くなるのか
- 情報過程は物質過程である -- Church-Turing-Deutsch Principle
- エントロピーは計算科学とも接点を持つ
セミナーの第二部「量子情報技術の応用の展望」では、現在進行中の量子情報技術の応用を紹介します。
- 量子コンピュータの到達点 – 量子優越性の実証
- 量子コンピュータと量子通信
- 量子通信の世界
セミナーの第三部「たとえ話で理解する「量子暗号」」は、量子通信の中心的な技術である「量子暗号」技術の、初等的な紹介です。
- コイントスで量子暗号をシミレートする
- 共有キーの構成
- コインからqubitへ