密度行列 ρ で理解する量子の世界
「密度行列 ρ で理解する量子の世界」概要
量子の世界を記述するには、ベクトルを使うやり方と密度行列を使うやり方があります。二つのアプローチは、量子の世界を記述しようという点では、基本的には同じ能力を持ちます。
ベクトルを使うアプローチは、基本的には、一つの量子の状態に注目します。一方、密度行列を使うアプローチでは、複数の量子の状態のあつまり(アンサンブル)を対象にします。
現実の量子の世界は、複数の量子の状態が入り混じった状態にあります。その中では、二つの量子が絡み合った状態にあったり(エンタングルメント)、対象の系自身が、外部の環境の影響を受けます(ノイズ、デコヒーレント)。こうした現象に対しては、密度行列によるアプローチが力を発揮します。
量子の世界のエントロピーは、密度行列で定義されます。密度行列は、量子情報理論の基本的なツールです。量子の世界の理解を一歩進める上で、密度行列の理解は不可欠です。
( 2021/08/05 マルゼミ )
講演資料「密度行列 ρ で理解する量子の世界」 ( ダウンロード)
コラム:「量子力学」と「量子情報理論」
密度行列とは何か?
Traceと密度行列
あまり知られていないかもしれないこと
量子力学と量子情報理論の違い
量子力学と量子情報理論の関係について
新しい「量子の理論」とエントロピー
新しい「量子の理論」とエンタングルメント
「密度行列 ρ で理解する量子の世界」講演ビデオ
Part 1 「密度行列とTrace」
YouTube チャプター
00:00 はじめに
06:19 密度行列とは何か?
12:55 mixedな密度行列
16:57 mixedな密度行列の特殊な形としてのpureな密度行列
21:21 Traceと密度行列
28:41 pureな密度行列のTrace
32:36 mixedな密度行列のTrace
35:46 密度行列の二乗のTrace
36:25 pureとmixedの密度行列の違い
Part 2 「密度行列と観測」
YouTube チャプター
00:00 密度行列と観測
01:29 観測演算子の一般化
01:36 観測の期待値
07:25 観測値の期待値 密度行列版
09:28 観測演算子の一般化 POVM
09:36 射影演算子 𝑃_𝑖
16:01 観測演算子 M_m
17:46 POVM(Positive Operator Valued Measurement)
19:24 観測の確率を密度行列で表現する
19:30 traceと内積
25:42 密度行列と観測確率
28:39 観測の結果を観測演算子で表現する
29:27 観測後の状態を射影演算子で考える
35:46 観測の結果の状態を、密度行列と観測演算子で表現する
39:57 密度行列の和として密度行列を表現する
Part 3 「Partial Trace」
YouTube チャプター
00:00 Partial Trace
00:50 還元された密度行列とpartial trace
05:55 partial trace over B= Trace out B
07:55 エンタングルメントとpartial trace
08:02 分離可能な状態のpartial trace
10:21 エンタングルしたEPRペアのpartial trace
Part 4 「密度行列で量子論の原理を定式化する」
YouTube チャプター
00:00 密度行列で量子論の原理を定式化する
02:45 状態ベクトルを使った量子論の原理の定式化
07:17 密度行列を使った量子論の原理の定式化
11:25 Complete Positiveという抽象化
13:43 ユニタリ変換と観測による密度行列の変化